今年で18回目の高専ロボコン。NHKが地区大会を深夜に放送している。これが面白い。
最近の高専ロボコンは、各校の技術がどんどんレベルアップしているようで、シロートの視聴者の目から見て、競技内容(毎年変わる)の難易度の設定が難しそうだと感じていた。ちょっと簡単だと、どのチームもさっさと課題をこなしてしまったり、必勝(に近い)手順を完成させるチームが現れたりして、競技としての面白さが薄れてしまったりするのだ。だが今年の「大運動会」はなかなかよく考えられた課題のようで、見応えがある。
競技内容を簡単に書く(詳しくは公式「競技課題・規定」を参照)と、2チームが一対一で競う障害物競走のようなものだ。
まず手動ロボットが、
・はじごくぐり(大きなサイズでは進めない、小さな段差を越える必要あり)
・方向転換(スピーディに平均台の前まで行ける操縦性がほしい)
・平均台渡り(55cmの高さの平均台の上を3m進む。難しい)
・ハードル越え(高さ68cmのハードルを大きく動かさずに越える。難しい)
ここまでできたら、バトンを自動ロボットに渡し、自動ロボットが
・足場の付いた垂直の壁を昇って、高さ2m以上のところにあるゴールにバトンを差し込む
これだけやらないといけない。ほんとに難しい課題だ。ここまで北から順に中部地区大会まで見たが、最後まで行けたチームは出ていない(あと一歩のところでバトンを差し込みきれなかったチームあり)。所定時間(3分)内に最後まで行けなかったときは、どこまでゴールに近づけたかの判定になる。
地区大会が面白い理由のひとつが、課題の難しさがわかること。やはり、出場するチーム全てが完成度の高いロボットを出す、とはいかないわけで、「操作にしたがって狙った方向に直進する」「小さな段差を越える」「重心を高くするために変形する」こういったひとつひとつのことにも実現するための工夫がいるということを(失敗を通して)見せてくれる。うまく行かないロボットをたくさん見た後で、障害をスムーズにクリアするロボットを見ると、感心・感動もひとしおとなる。
もうひとつの面白さは、課題をクリアするためのアイディアの「拡散と集中」を見ることができる点だ。今回の手動ロボットは複数の異なる課題をクリアしなければならず、それを実現するために様々なアイディアが出ていたが、物理的な制約と利用できる技術の制約をかけると、課題をこなせるものは似通ったいくつかのタイプにまとめられるように見えてくる。そのへんの(基本構造についての)収斂進化とも言うべき様相と、にもかかわらずその中に他のロボットと差を付ける独自の工夫が見られたりするのがとても面白い。
まだ放送されていないのは西日本の各地区大会だが、どんなロボットが出てくるだろう? 最初に課題を見たときに、ヘビ型(直列した多関節タイプ)や飛行船型(はしごくぐり後に展開)があるかもと思ったが、飛行船は出てきていない(短時間で展開が無理 and/or ちょっと反則っぽいから? 自動ロボットにヘリコプターを使うところはあった)。 あっと驚くアイディアを見てみたい。