純粋なSFというのは、衰退し続けているジャンルなのだろう。とは、ここ10年くらい、書店の中のハヤカワ文庫SFの品揃えを見て思うことだ。定番の作家の本と(業界内で話題の)新作が小さなエリアに押し込まれている。
自分が中学や高校の頃は、もっとたくさん並んでいたのになあ。
もっともそう言う僕自身、SFをほとんど読まなくなって久しいのだから、この現状を嘆く資格はないのだが。
最後に読んだハヤカワ文庫SFの本は何だったかな、と思い出してみる。たぶん、マイケル・レズニックの「キリンヤガ」かコードウェイナー・スミスの「第81Q戦争」だろう。そしてこれらの本に出会う契機になったのが、「SFオンライン」だ。
「SFオンライン」は、Web上の月刊雑誌というスタイルで1997年2月に始まり、2002年2月の第60号を最後に休刊した。休刊後も(バックナンバーも含めて)So-net上に残され、アクセスすることができる。SFに関連したトピックの特集、SFを中心に科学系のノンフィクション、ファンタジーなどの書評、映画評があった。(今、見返してみて「小説もあったんだな」と気づく) 毎月、コンスタントに見ていたのは書評と映画評のコーナー。あと見ていたのは、興味のある特集(「ロケットの夏(98年7月)」や「ロボットの時代がやってくる(97年10月)」が記憶に残る)とか、「帰ってきた螢雪ジェダイ」とか。そうそう、「ファビュラス・バーカー・ボーイズ・ゴー・アメリカ」も。
そして書評の中で「キリンヤガ」や「第81Q戦争」を知ったのだった。
当時、これだけ内容の充実したレビューサイト(というくくりは適切でないかも)はちょっとなかった。それだけに(若干、失速感はあったものの)休刊は残念だった。収益モデルが立たなかったのが休刊の主要因だろうか。今なら広告などでペイするか、いややっぱり難しいかな。
ちなみにGoogleで「SF」を検索すると、いまだに「SFオンライン」が日本語のページの中の第2位になる。