きっかけは映画の中の一風景だった。重慶の街の上をロープウェイが走っていた。
ちょっと前、『ションヤンの酒家』という映画を観た。現代の中国の都市・重慶を舞台にした人間ドラマで、なかなかいい映画だったのだけれど、本筋と関係のないところが印象に残ったのだ。
映画の中で、主人公はロープウェイに乗って川を渡り、少し霧のかかった市街地の上を進む。高低差のない(ように見えた、実際は結構あるのかも)市街地の上をロープウェイが走っているというのが、ちょっと意外な感じだった。
重慶は、人口1500万人とも言われる中国内陸部最大の都市だ。街は長江と嘉陵江という二つの大河にはさまれた丘陵地に広がっており、どうやら、ロープウェイは市の中心部と長江・嘉陵江の対岸を結ぶ2路線があるらしい。
ロープウェイというと、山を登るための観光用のものというイメージがあったが、このロープウェイは庶民の足であるようだ。(参考その1、その2) これを見て、観光用に限定されない、公共交通機関としてのロープウェイというものの可能性を考えてみたくなった。
(そういえば、愛知万博でもロープウェイによる会場内・会場間の移動があったなぁ)
ロープウェイの利点としては、
・高低差に強い
・一両ごとの運転手が不要(固定費を抑えられる)
・建設費が安いかも?
・(法的な制限を考えなければ、)都市の上空を効果的にレイアウトできそう
などが考えられる。
一方、欠点としては、
・あまりスピードは出せそうにない
・一両にそう多人数は乗れそうにない
・基本的には2点間の移動で、途中で降りられない
・強風下では運行できなさそう
・耐震性は? 非常時の脱出方法は?
・エネルギー効率はどうだろう? 基本的には等速運動だから効率よさそうだが。
・上空から見下ろされたくないという感情(万博でも会場間移動で問題とされた)
などがあるかもしれない。
公共交通機関の採算がとれにくい小都市には向いているような気がするのだが。「ロープウェイ特区」なんて作って試してみたらどうかな。
調べているうち、モノレールとロープウェイの特性を組み合わせた経済的な交通システムとして、スカイレールというのを神戸製鋼所が提案しているのを見つけた。(Wikipediaの解説) 広島県にスカイレールの路線があるようだ。