ワンセグの「別の」可能性
テレビ放送のデジタル化という流れの中で、ワンセグには「携帯用」にとどまらない可能性があるんじゃないかという考察、あるいは妄想。
ひとつは、低価格帯の据え置きテレビとして。 「ワンセグじゃあ画質悪すぎだろう」と思われるかもしれないが、世の中には画質を気にしない人もけっこういるものだ。古い14インチのテレビを室内アンテナで見てるような人たち、とりあえずテレビが映っていればいいという人たちにとって、高画質の地デジTVは品質過剰であって、何より値段が高すぎる。地デジのチューナーも低価格化しているが、ワンセグなら、より安価な製品が可能だろう。録画まで考えても、ワンセグならふたまわり小さな容量のハードディスク(あるいは、ひょっとすると半導体メモリ)で対応可能だ。B-CASカードが不要というのもコストを下げる要素として無視できない。
2つ目は、PC上のテレビ視聴・録画用として。すでにソニーがワンセグ対応ノートPCを発売しているほか、今後はUSB接続のワンセグ・チューナーも発売されるようだ。「ながら見」用ならワンセグの映像品質で十分だろうし、PCならメタデータを使ったWebとの連動というメリットを享受しやすい。 ただし、録画については「録画した機械以外では視聴できない」という厳しい制限があるようだ。(参考: ワンセグは地デジを補完できるか? - 「録画」に注目してチェックするワンセグ放送)
3つ目は、テレビ局がネットに公開するコンテンツのデータソースとして。今年になってブレークしているYouTubeが明らかにしたのは、「低画質であっても、ネット上に公開されたテレビ番組は訴求力を持つ」ということだ。「勝手に公開するのは著作権違反だから削除せよ」という主張は法的に正しいかもしれないが、「ネット上で映像を手軽に見たい」という欲求がマスとして存在し、その欲求を満たす場を作ることが可能である、そしてその場に多くの人が集まり(ときには)プロモーション的な経済効果をも生む、ということがわかってしまった。YouTubeのビジネスモデルは未だ明らかではない?が、YouTube(またはその追随者)がおいしいところをさらっていく前に、放送局側もネットの使い方を考える必要に迫られる(ネット上の音楽配信の分野で、レコード会社はNapsterのサービスをつぶしたものの、iTunes Music Storeに新しい市場を作られたことを考えてみよう)。 そしてテレビ局がネットにコンテンツを大量にさらすとことを決断するとき、ワンセグの「ほどほどの画質で、ADSL程度の環境でも対応可能なビットレート」という特徴があらためて注目されるのではなかろうか(と妄想するのだ)。
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