歩いて帰った男
今、「震災時帰宅支援マップ 首都圏版」という本が売れているそうな(現在、Amazonで売り上げ5位)。最初にスラッシュドットの記事で見たときは、「そんな本、買う人いるのかな」などと思ったものだけれど。
この本、首都圏の交通機関が麻痺した場合を想定して、徒歩で安全に帰宅するための情報を提供しているとのこと。水やトイレ、震災時に設置される帰宅支援ステーション(そんなものがあるとは、初めて知った)などの場所がわかるという。けっこう実用的なのかもしれない。
まあ、本のことはさておき。一度、職場から自宅まで歩いて帰ったことを思い出した。
別に地震のことを考えて歩いてみたわけではない。夏の終わりの金曜日だったろうか。終電にぎりぎり間に合うつもりでいたのに乗り損ねたときがあったのだ。そこで、「まあ明日は休日だし…、一度、歩いて帰ってみるか」という気になった。
幹線道に沿って歩けば、迷うことはないだろう。疲れたら、最後はタクシーを使ってもいいんだし…。そんな軽い気持ちで歩き出す。午後1時くらいでも都心ちかくは人通りもあり、明るさも問題ない。コンビニでペットボトルを買って、のどを潤す。30分ほど歩いてメドにしていた渋谷駅の前を通過、このペースなら最後まで歩けるかもと思った。
だがそこからの道のり、思いのほかアップダウンがあり、楽じゃない。単調に、ひたすら歩き続けること2時間あまりでようやく自宅にたどり着いた。酔狂で歩いたのは、そのとき一度だけだ。
もし職場にいるときに地震が発生したら。あのときの経路を地震直後に歩けるか(歩きたいか)、疑問な箇所もある。また、独り暮らしなので、そもそも自宅に戻ることがよい選択なのかどうかも考えないといけないだろう。いずれにせよ、日本に暮らす以上、大地震に遭遇する確率がそれなりにあるわけで、「備え」について考えておかないと。
「大災害の後、歩いて帰る」ということで思い出したのが、ティプトリーの The Man Who Walked Home。あんな目にあうことはあるまいが。
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